右隣では、ジャックダニエル似のオヤジが
7連チャンの真っ最中。

一見なかなか気難しそうだが、これだけ出てれば不機嫌なはずねーだろ。
よし、いまがチャンスだ。話せ、話しかけるんだ、オレ!
(調子良さそうですね〜、その運分けてくださいよ。ゲヘヘ)
(ねえ、この台枠さ、ハンドル固定できなくてイラつかない?)
(オイおっさん、遠隔でもしてもらってんのか、ああんっ!?)
様々な言葉が頭をよぎるが、どうしても自分の弱い心が邪魔をして口に出すことができない……。
オレもたまに話しかけられることあるけど、ちょっとウザイときあるもんな。
そしてひとつ言っておきたい。ジャックダニエルは酒っ酒っ!
そんなセルフツッコミをしてるうち、我が台に海亀3匹出現!
そして――

魚群出た〜〜〜〜っ!!
これが無事当たって、さくっと3連チャン。
ちょうど同じ頃、ジャックおじさんも10連目で確変が終了していた。
再び訪れたチャンス。行け、行くならいましかないっっ!
(ハッハッハ、同じタイミングで終わるとは我々相性バッチリですな〜)
(おっさんの貧乏ゆすりが原因でオレの連チャン止まったじゃねーか!)
(ところで今宵は満月でしょうか? 満月なんでしょウカ〜〜っっっ!?)
ダメだ……。
人見知りのまま34年も生きてきたせいか、知らない人に自ら話しかけるなんて、
よっぽど大事な用でもない限りできるはずがねえ。
ナンパとか気軽にやってのけちゃう人たちの脳って、一体どうなってるんだろ……。
あぁ、このまま蝋人形(中国産)になりたいなー。
そんなウダウダした心のまま、出玉は調子よく飲まれていき、気がつけば残り1箱。
あっそうだ。なんか景品に換えねーと!
良く回る台を放棄するのはもったいないけど、こういう展開が来るのは最初から承知の上。
しかし、このまま会話なしに終わったんじゃ完全な企画倒れになってしまう。
さあ、勇気振り絞って声出すぞ!!
「こ、ここの換金所って分かります?」
「ん?裏口出てすぐ左」
「あ、どうもありがとうございます」
……ふぅ。
今日のところはこれくらいにしといてやるか。
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