「フロントに行ってみようか?」
残された可能性に全てを賭ける。
ビールを飲みながら卑猥な話を肴に楽しむおっさんたち。
森の中のように静まり帰ったベッドルーム。
そんな中、俺たちは獲物を見つけたライオンのような必死な形相で、フロントに駆け出した。
そして店員さんに聞く。
友達「財布、落ちてませんでしたか?」
と、過去5年間付き添った友達の今まで見た事もない真剣な顔。
店員「どんなお財布ですか?」
冷静だ。 むしろ、少しニヤついてないか? なんだこいつ。
友達「茶色い折りたたみ財布で…」
店員「少々お待ちください…」
奥に去っていった。 |
どうだ?
あるのか?
俺と友達は必死に店員を見つめている。
すると奥から店員さんが戻ってきて、
店員「こちらですか?」
友達「ハイ!!」
あった!!
中身は?
するとI君が財布を奪い取るようにして中身を見る。
…
友達「あった!!中身も入ってる!」
俺「マジ? ほんとかよ!?」 |
その場で友達と抱き合った。
そして大声を出しながら友達と喜んでいると、店員さんに怒られた。
俺たちは、真夜中のサウナということを思い出し店員さんに謝った(笑)。
「見つけてくれた人は誰かわかりますか?」
と聞くと、「わからない」と店員さんは言う。
感謝の気持ちをぶつける相手がいなくなってしまった。
その夜は、何故か眠れなかった。
まだ旅が続けられることの嬉しさと、サイフを届けてくれた人に対する感謝の気持ちで…。 |
さらにはこの一件で京都という街を、人情という観点からでも大好きになっていた。
財布を届けてくれた人に対しての感謝の気持ちは、京都という街そのものに向けられたのだろう。
そして次の日…
前日の出来事を忘れさせてくれるかのような晴天。
まさに俺たちの旅を祝福してくれるかのような天気だった。
ビルの隙間から差し込む太陽のカーテンが、とても美しかったのを覚えている。
そして、俺たちは今回の旅の終着駅となるであろう大阪へと、大好きな街、京都を後にした。
ありがとう!!
電車での所要時間は40分程だろうか…
目的地である大阪へ…最後の駒を進めた。
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