ゲーム(ブラックジャック)が終わってチップを数えてみた時、残った金額は意外なものだった。
その額は…
+250$
負けていなかったことに驚いた。
ちょこちょこでかい勝負をしていたのだが、そのほとんどで勝っていたような気がする。
とにかく、運がよかったんだ。
途中、ディーラーのおばちゃんが気さくでいっぱい話しかけてくれたのも、手が荒れなかった理由だ。
一つのテーブルに5人ほどが座り、親を含めた合計6人でプレイをしていた。
気さくなおばちゃんディーラーは、いきなり一番右の人に、
「WHERE?」
と聞いた。
右から順に「Korea」「Canada」「オーストラリア」「アメリカ」
こんな感じでみんなが順番に答えていく。
んが、俺が「ジャパン!」と言った瞬間にみんな凍りついた。
俺は、
「え、なんか変なこと言った?」と思った。
すると、一瞬の静寂を破りみんなが一斉に話しかけてきた。
「オーサムライボーイ!」だとか、「カミカゼボーイ!」とか意味のわからない英語で(笑)。
俺は、あまり言葉がわからなかったので、少し黙ってると「サイレントボーイ」とか、また色々言われた。 |
向こうの人は気さくだ。
「ジャパン!」で沈黙したのは、どうやら日本に好感を持っていたからだったらしい。
外国で日本って、たぶん「神秘の国」とか「神風特攻隊」とか「武士」とか、面白い印象があるんだな、と思った。
実際、みんなすごい親しくしてくれた。
あっちの人が持つオープンな性格は、すごく憧れる。
そして一旦カジノを切り上げてラスベガスの街をうろつくことに。
インターネットカフェに入ってメールをチェックしたり、
「ALADINホテル」の天井が天気のように移り変わるのを見ていたりして、夜の街をフラフラしていた。

アメリカと言うと、ロスやLAのように路地に入ると危険なイメージがあるが、ラスベガスだけはとても治安の良い所だった。
きっと、大きなマフィアが仕切っているため半端なチンピラが近寄れないのだろう。
この時の俺は薄汚い茶色の紙袋に包まれた酒を呑み、
さも映画にでも出演しているかの気持ちになり、すごく気分が良かったのを覚えている。
こうでもしなきゃ、やっていられなかったからな。
だが、さすがに40時間近くもぶっ通しで遊んでいたので、ホテルへ戻ったら泥のように深い眠りに落ちた。
次の日には、グランドキャニオンに行く予定だったので1日分の睡眠しかとれなかったのだが…。 |
当日は、ラスベガスからバスに乗ってプロペラ機が止めてあるところまで行き、そこからは飛行機。
そしてこの飛行機が怖いのなんの…

途中で、
「墜落するのか?」
と思うぐらい、急降下して頭を天井にぶつけたし。
どうやら操縦士が新聞を読んでいて、足がハンドルに当たったらしい。
「死んだらどうすんだ!!」
そんな事を思いながら外を眺めてると…言葉を失うほどの絶景だった。
そして到着。
崖から景色を見ると…
飛び降りてみたくなるほどの高い崖。
思いっきり羽を伸ばし、優雅に飛ぶ鷹。
それらはまるで、一枚の絵のようだった。
呆然と立ちつくす人、感動のあまり涙を流す人、今までに体験したことのない景色に誰もが言葉を失っていた。
写真などでしか見た事がなかったグランドキャニオンとは、迫力が別格だ。
その巨大な崖の上に立ってみると、人の小ささを感じると同時に、
地球という惑星の偉大さと人類誕生の根源までを考えさせられてしまう(笑)。
「世界って広いな」
そう感じざるを得なかった。 |
そして気づけばラスベガス旅行も最終日となり、今度は気分が悶々としてきた。
最後にもう一度ブラックジャックがやりたかった。
あの時がすごい楽しかったから、どうしてもまたやりたかったんだ。
ただ、昼から行ったカジノはあまり盛り上がっていなかった。
何日か前に居た気さくなおばちゃんディーラーもいなく、ノリの良いギャンブラーたちもいない。
俺が「楽しい」と感じていたのは、ブラックジャックではなくて、
テーブルについていた人たちと、気さくなおばちゃんディーラーのほうだったのかもしれない。
この日は軽く17000円ほど負け、気づけば飛行機の時間。
最初は彼女のことがあってすぐに帰りたかったラスベガスも、いざ帰るとなると「後ろ髪をひかれる想い」だった。
俺はこの街が好きになっていた。
帰るときには、
「GOOD LUCK!」
また会うかもしれないラスベガスに向かって、そう叫んでいた。
ラスベガス収支+8000(笑) |