帰国してから、俺は早速Mちゃんに連絡を取った。
久しぶりに聞いたMちゃんの声は、俺の気持ちをくすぐった。
話しによると、亡くなったお母さんのお通夜も終わり、少しは落ち着いたと言う。
だが、それが言葉だけで、心は落ち着いていないのを俺は知っていた。
そんな時にこそ、そばにいてあげたいと思った。
だが彼女は、俺を拒んだ。
なぜ?
一瞬そう思ったが、彼女の方から理由を言ってきた。
「今会うと、思いっきり泣いてしまいそう」
と言われた。
しっかりと自分の足で立っていたいらしい。
それを聞いて、俺に今できることはなんだろ? と考えた。 |
そして俺がとった行動はこれだ。
彼女の家の、郵便ポストに包みを入れる(中身は3万円)。
少しでも経済的に余裕ができれば、と思ったんだ。
金額もすごく悩んだ。
少しでもいっぱい助けたい。
でも、お祝い事でもないのに、大金を包むのはおかしい。
きっと、彼女もそんなことは望んでない。
むしろ、プライドが傷つくのではないか?
そう思って、自分なりに考えて出した結論がこの3万円という金額だった。
俺はその包みを、真夜中に彼女の家のポストへそっと投げ入れた。
だがそのとき、彼女の飼っている犬が俺の気配に気づき、
「ワンワン!」
と大きく吠えた。
俺は悪い事をしてないのに、逃げるようにその場を立ち去った。
そして後でまた考えた。
こんなもので良かったんだろうか? と。
そして、自分にいい聞かせるように、
「今できる手助けはこれぐらいだったんだ」
と何度も自分に向かって叫んだ。
すると、その二日後ぐらいに彼女からメールがきた。
Mちゃん「ポストに大金入れるなよ〜。盗まれたらどうするの? ありがとう^^」
俺は、メールの最後にある一言が聞けただけで満足だった。 |
俺のしたことは、自己満足と言われればそうかもしれない。
それでも彼女が、素直に受け止めてくれたことが嬉しかった。
それからは、彼女の事を考えながらもパチスロを打ち込んだ。
ただただ稼ぐことだけに夢中になった。
たった一年だけパチスロ1本で稼ぐと決めていたこの年は、後悔しないように本気でやりたかったんだ。
人生の中でここまで夢中になれるものができたのも初めて。
自分に守らなきゃいけない、と思わされる相手ができたのも初めて。
とにかく今は、 お金を稼ぐことが俺の未来に繋がる。 |
そしてラスベガスから帰ってきた7月は、
いつも通りノリ打ちを中心にし、+676000という成果を上げることができた。
この頃には、都内で動くノリ打ちメンバーも20人ほどになっていた。
「攻略プロ」「開店プロ」「ジグマ」と、
様々なメンバーで俺達の「ノリ打ちグループ」は構成されていた。
そして、都内の大きなグループには、ほぼ横の繋がりで話しが通るぐらいにまでなっていたんだ。
また、この頃にはパチスロを打つバイトを雇い始めていた。
一人で動くと、稼ぐ額が頭打ちになる。
毎日2万浮く台を打ったとしても、月に60万が限界だ。
ただ、2万浮く台をバイトに1万で打たせれば、1万の仲介手数料を取ることができる。
俺はそんな方法も絡めつつ、都内のイベントは片っ端から攻めていった。
特に全台設定6系のイベントは、徹夜をしてでも取りにいった。
と言うよりは取らせた。
この頃は、怖いものなんてなかったし「稼ぐことが全て」だと思っていたんだ。
そしてガツガツと稼いでいた8月は+852000、満足のいく収支を上げることができた。
また、この月はボーナスも出た。
パチスロで食べている奴に、ボーナスなんてあるのかって?
攻略法…それが俺たちのボーナスなんだ。 |