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パチンコ・パチスロ特集:『ポカリの攻略研究室』

 パチスロに人生を預ける (第44章)

「うちの会社で働かないか?」

そうお相撲さんに言われ、俺は戸惑っていた。
コンピュータの専門学校で勉強を積んだのはいいけれど、しっかりと次の道が決まっていなかったからである。


パチスロの解析をやりたい。


薄々とその想いはあった。
それでも、直接それができるほどの人脈は持っていなかった。


解析をやる人は、なかなか表に出てこない。だから、直接関わりを持つのはとても難しいことだった。
教えてくれる人を探すのには、かなりの人脈が必要になる。


確かに、裏業界の人脈はあったんだけど、裏業界でやって行く気は無かった
将来、そこにいる自分が格好良く見えなかったから。
もし、裏業界で解析を覚えたとしても、ロムの改造をして稼いでいく事ぐらいが「落ち」だろう。


雑誌などを出して、パチスロの面白さを多くの人に伝えたい。


いつからか、そう思うようになっていたんだ。
唯一、表側にコネがあったとすれば、大して知名度のない「パチスロ専門の公式サイト」ぐらいだった。
ここではパチプロ時代の時にも、ライターとしてちょこちょこ執筆していた覚えがある。


でも、それとは別に、普通の仕事がしてみたい。


そんな事も考えていた。
そんなときに飛び込んできた就職の誘い

そのお相撲さんは、会社で部長をやっているらしいとのこと。
そして、データ入力をする人や、システムに強い人がいないらしいので、その部分の人間を育てたい、ということ。
俺も、専門学校を出たままの生兵法で解析が出来る、とは思っていなかったので、社会勉強も含めて働く決意をした。


何事もやってみなきゃわからない。それが俺の信念だ。


会社の事業内容は、化粧品のネットワークビジネス、早く言うとネズミ講
もちろん、合法的なもので、海外にあるアムウェイなどと非常に良く似ている
そこのシステムを任されるそうなので、俺のやる仕事はネズミ講とあまり関係ない


とりあえず面接にいってみる。 ここで受からないと、何も始まらない。


そんな気負いからか、気合いを入れまくって、慣れないアルマーニのスーツを着込んだ。
そして面接先へと向かう。初就職の面接なだけに、俺は緊張していた。


それでも、知り合いのお相撲さんがいたので、そこそこ気をほぐす事はできた。
そして、会社に着き、社長室へと案内され、社長と話し始めると…いきなり社長が、


「そのスーツ、アルマーニか?」

といきなり問いかけてきた。



「はい、そうです…」


この瞬間、俺はまずったかな? と思った。
もっと、質素な格好をしてくるべきだったのか? 社会をナメんな、とでも言われるのか?


頭の中を色々な考えが回想した。すると社長が…


「よし、働いてもらおう!」


ん? 俺は一瞬戸惑った。 アルマーニを着てただけで採用? 


聞かれたのはそれだけだった。

後から知ったのだが、社長は異常な程のアルマーニ好きで、スーツは絶対にアルマーニしか着ないらしい(笑)。
どうやら、社長にはスーツの縫い目だったり、ラインを見てアルマーニかどうか、一目でわかるらしいのだ。

そのときの俺を見て、アルマーニを着てるやつに悪い奴はいない、とでも思ったのか、
それとも、これも何かの縁と思ったのかはわからない。


だけど、ここでもパチスロで使ってきた運は尽きていなかったんだ。
アルマーニを着てた、それだけで面接に受かったという衝撃の出来事は、今でも鮮明に覚えている。


そして俺は、17歳の時にバイトを辞めて以来、5年振りに働きだしたんだ。
上司はお相撲さんの部長で、厳しさは予想以上のものだった。



最初は電話を取る事さえろくに出来ず、ほかの女性社員が取る電話対応の仕方を、毎日毎日勉強していた。
一週間ほどすると、電話対応はまともにこなせるようになり、だんだんと事業内容が掴めて来た。


ネットワークビジネスは、一概に「悪いもの」とは言えない。
その中には、うまくやればかなり儲かるものもある。


ただ、周りの人から食い物にしていくのは否めない事実で、人間関係は複雑になるかもしれない。
それでも、成功している人たちはいるわけで、かなりの額を儲けている人たちもいた。


俺はその会社で、社会の常識を覚えると共に電話対応名刺交換の仕方礼儀作法、など色々なものを教わった。
もちろんデータ入力などもしながら、仕事に生きていきそうなエクセルのプログラム(VBA)を組んだりもして、
日に日に社会人としてのスキルは上がって行った。


また、上司が元幕内力士だっただけに、指導はもろ体育会系であり、相当に厳しかった
兵庫出身の人だったので、言葉遣いも関西なまりでかなり強烈。


それでも、俺のことを想って色々と言ってくれてるのがわかっていたので、耐えに耐えた。

これが、社会人なのだと。

その中でも、一番きつかったのが夜のご飯だ(笑)。
お相撲さんともう一人、俺と同じ年の同僚がいたんだけど、その人は配送担当。
しかも、相撲を10年以上もやってきていて、今は総合格闘技のプロを目指している強者だった。
そんな2人とご飯にいくんだから、もう大変。


T区にある有名な焼肉屋に行った時を例に上げてみよう。
お相撲さん、同僚、俺のたった3人で行った時の話だ。


そこでまず最初に頼んだのが…

お相撲さん「上カルビ、10人前ね〜」



これだけでも驚きだったんだけど、それを食べながら恐ろしい会話を耳にする。

お相撲さん「まーこれはサラダみたいなもんや、ポカリ。おっちゃん、追加で10人前頼むわ」



俺は、同僚と2人で15人前近くを平らげた…。
さらに最後には、チャーハンみたいなものまで頼んでくれて、死にそうなぐらいお腹いっぱいになった。

とても面倒見の良いお相撲さんだったんだ。 会社で怒った後には、必ず優しさがあった。



そんな感じで俺はこの会社で働き初め、パチスロに触れる機会もなくなっていった。
休みは週に1回だったので、サーフィンに行くだけで潰れてしまう。


同時に、この頃には九州に住んでる女の子と付き合っていたので、
月に一度会いに行くだけでも、文字通り「いっぱいいっぱい」だった。


だが俺は、働き始めて半年ほど経ったとき、自分に疑問を持ち始めたんだ。


   
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